膵臓の細胞組織は外分泌系と内分泌系に分類されていて、その大半が外分泌系だったのは前回学習したばかりだけど覚えているかな?
うん、膵臓では2つの重要な働きがあって、外分泌系では膵液を分泌して内分泌系ではホルモンを分泌していたんだよね。
そう、ポンちゃんしっかり覚えていたね。すごいよ。
今日は膵臓の細胞組織のおよそ10%以下の割合しかない内分泌系のランゲルハンス島細胞についての学習をしていくよ。
ランゲルハンス島?そう言えば前回もちらっとそんな名前が出てきていたような気がするな…
ランゲルハンス島って言うくらいだからどこかの国にある島なのかなぁ?何となく南国ってイメージがするしね。
膵臓とランゲルハンス島にどんな関係があるのか良くわからないけれど今日はちょっと楽しみだぞ~!
ランゲルハンス島は別名「膵島(すいとう)」とも呼ばれる膵臓内部の10%以下の割合で含まれる細胞塊の島・いわゆる細胞の集まりのことを指すんだ。
この名前の由来はドイツ・ベルリン出生の病理学者である「パウル・ランゲルハンス氏」の名前が由来となっている。(※彼の名前が由来となっている医学用語ではランゲルハンス細胞がある。ランゲルハンス細胞とランゲルハンス島は全く別の組織である点に注意)
ランゲルハンス島は複数のα細胞(A細胞)とβ細胞(B細胞)、そしてδ細胞(D細胞)が集まった島となっており、膵臓内部におよそ100万個以上の島が散らばるように点在しているんだよ。
では、ここで「ランゲルハンス島がどのような構造で構成されているのか?」という点について実際にイラスト画像を見ながら学習していこう。
図を見ると解る通り、ランゲルハンス島は3つの細胞が組み合わさってひとつの島が構成されているのがわかるね。
イラスト画像の中では薄い紫色の細胞で最も多くの割合を占めているのがβ(ベータ)細胞。(※B細胞とも呼ばれる)
β細胞は3種類の細胞組織の中では約75~80%の割合を占める主要細胞でインスリンを分泌する働きを持つ細胞。
続いてイラストの薄いピンク色で示されている細胞がα(アルファ)細胞。(※A細胞とも呼ばれる)
α細胞はβ細胞に次いで多く、α細胞が占める割合は約15~20%程度で血糖値を調整するグルカゴンを分泌している細胞組織。
最後に薄いオレンジ色で描かれている最も少ない細胞がδ(デルタ)細胞。(※D細胞とも呼ばれる)
δ細胞はランゲルハンス島全体の約5%程度の割合しかない最も比率の少ない細胞で「ソマトスタチン」を生成する細胞組織なんだ。
ランゲルハンス島って南国の島ではなく、細胞の集まりでできた島ってことだったんだね。
ランゲルハンス島は血液中の血糖値に低下が見られると「α細胞」からグルカゴンと呼ばれるペプチドホルモンを分泌して血糖値を高める働きかけを始めるのが特徴。
α細胞は前述した通りランゲルハンス島全体の約15%~20%程度の割合で分散していてβ細胞と共にホルモンの分泌という重要な仕事を毎日行なっているんだね。
血糖値が低い数値になるとどのような問題があるのかなぁ?
うん、血糖値の数値が基準値を下回ると「低血糖症」と呼ばれる様々な症状をもたらす疾患症状を発症する危険性が出てくる。
血糖値の基準値は若干個人差はあるけれど平均的には「80~110mg/dl」程度の範囲が正常な基準値の範囲なんだ。
もし血糖値が基準値を大きく下回る数値を示す場合は、低血糖症の主な症状である、頭痛や痙攣症状、大量の発汗や強い眠気症状、集中力の低下などの症状があらわれたりするんだよ。
自動車の運転中とかに低血糖症の症状が突然出てきて、いきなり眠たくなったり集中力がなくなってきたりしたらあぶないね。
そうだね、血糖値が低くなるという事は運転中に限らず色々な場面で思わぬ怪我や事故を起こす危険性が高まる要因となる。
これは「からだ」にとっては危険な状態であると体が感知すると膵臓内のα細胞が危険信号を察知して血糖値を高めるように働きかけているんだよ。
血糖値が基準値よりも低い数値になってしまった時は、α細胞(A細胞)からグルカゴンが分泌されるから血糖値を一定に保つことができていたんだね。
ランゲルハンス島から分泌されるインスリンの最大の働きは、血糖値を下げる働き。
うん、でもこれは一時的な血糖値の補給措置。
これは血糖値を保つグルコースの元となるグリコーゲンの貯蔵量に限界があるためなんだ。
その為、血糖値の低下が確認された時はランゲルハンス島内のα細胞の働きだけでは血糖値を保てない可能性もある為、副腎皮質などの他の器官も力を合わせて肝臓内に蓄えられているグリコーゲンの分解など糖の生成を行いながらみんなで血糖値の低下を防止しているんだよ。
血糖値の調整は体の中で色んな細胞や組織が活動してくれているから血糖値を維持したりすることができていたんだね。
こんな複雑な調整を体内の細胞くんたちは毎日やってくれているなんて感謝しないとね。
ランゲルハンス島の中でも特に糖尿病などの病気に大きく関与する重要な働きを持つ細胞がβ細胞(B細胞)と呼ばれる組織。
ランゲルハンス島の構造図を見ても解る通りβ細胞はランゲルハンス島細胞の中でも最も数が多い細胞組織でその割合は約75~80%にものぼるんだよ。
膵臓の重要な2つの働きについて前回学習したけれど、膵臓の働きの中でも内分泌系のホルモン分泌の働きは特に重要でβ細胞はインスリンと呼ばれるホルモンを分泌する役割を持っているんだ。
インスリンってα細胞から分泌されるグルカゴンと同じホルモンなんだね。
でも、このインスリンはいったいどんな働きをも持つホルモンなのかなぁ?
インスリンの最大の働きは血糖値を低下させる働きがあること。
ランゲルハンス島のα細胞ではグルカゴンを分泌する事で血糖値のコントロールを行なっていたよね。
うん、グルカゴンが細胞内部に蓄えられているグリコーゲンを分解してグルコースを生成して血糖値の低下を防ぐ働きをもっていたんだよね。
そうだね。でも、普段の日常生活の中でもし血糖値の数値が高い数値になり過ぎてしまった場合は、今度は逆に血糖値を下げる働きが必要になる。
血糖値を高める為には、幾つかのホルモンが協力して血糖値をコントロールしていたけれど、血糖値を下げる働きを持っているホルモンは実はこのインスリンだけなんだ。
具体的なインスリンの働きとしてはブドウ糖の取り込みを行う骨格筋の働きを促進させたり糖を産み出す「糖新生」を行う肝臓の働きを抑制する事で血液中の糖濃度を調整し血糖値を抑制している。
だから、インスリンが上手に分泌されないようになってしまうと、今度は血糖値が常に高い数値を示すようになってしまう。
このようにインスリンが働かずに血糖値が高い数値を示すようになってしまう疾患が糖尿病と呼ばれる病気なんだよ。
※血糖値を低下させる働きを持つホルモンはインスリンのみ
インスリンの基礎分泌を行う器官は膵臓のランゲルハンス島の中でも最も多い比率を誇るβ細胞。
膵臓の内分泌系ではアミノ酸を原料としたペプチドホルモンの分泌が活発に行われていて、中でもβ細胞内ではペプチドホルモンのひとつであるインスリンを分泌している細胞組織。
尚、インスリンの生成に使用されるアミノ酸原料の種類は100種類以上と言われており、β細胞はたくさんのアミノ酸を組み合わせてインスリンを生成しているんだ。
※インスリンはアミノ酸を原料としたペプチドホルモン
ランゲルハンス細胞のδ細胞(D細胞)はランゲルハンス島の構造図を見ても解る通り最も数が少ない細胞組織。
このデルタ細胞の主な役割は、ランゲルハンス島細胞全体から分泌されるホルモン量の調節を行う働きなんだ。
ランゲルハンス島細胞では血糖値の低下が確認されるとアルファ細胞が積極的にグルカゴンを分泌しながら血糖値を元に戻そうと働く。
そしてベータ細胞では、食事などで食べ物を摂取し過ぎてしまったようなケースでも血糖値が上がり過ぎないようにインスリンを分泌しながら血糖値の過度の上昇を抑制していたんだったよね。
そして、これらの血糖値の調整に関わる2つのホルモンの分泌量の微調整をおこなっているのがδ細胞という訳なんだ。
※δ細胞の主な働きはランゲルハンス島細胞から分泌されるホルモン分泌量を調整する働き。
尚、ホルモンの分泌量の調整を行っているのはデルタ細胞から分泌される「ソマトスタチン」と呼ばれる成分。
ソマトスタチンは膵臓以外の視床下部や消化管でも分泌されている成分で成長ホルモンの分泌量を抑制したり胃酸や胃液の分泌量を調整する働きを持っている。
ランゲルハンス島のデルタ細胞から分泌されるソマトスタチンは「グルカゴン」と「インスリン」の分泌量を抑制する為に生成されている成分なんだよ。