冠動脈の場所・働きの解説

冠動脈と心臓の病気。心臓への酸素供給のメカニズムの解説。

◆冠動脈の場所・働きの解説(もくじ)

◆冠動脈に番号がついているのはなぜ?

 ねぇドクター。冠動脈の図にのっている番号って何を表しているの?

 うん、冠動脈の図に記載されている番号はね、右と左に枝分かれしていく冠動脈をエリア別に分けた番号の指標なんだよ。
例えば、⑥番の冠動脈に異常を発見。と言えば、その6番の冠動脈の場所がわかっていると、そのエリアの異常に対する対処がしやすくなるよね。

 それで冠動脈には番号がふってあるんだぁ。

冠動脈の番号図(イラスト図)

 冠動脈の番号は、2本の冠動脈それぞれに番号が決まった番号(記号)が振り分けられていて右冠状動脈は1番~4番(4AV・4PD)まで、左冠状動脈は5番~15番までの番号が血管の区域ごとに分類されているんだよ。
尚、左冠状動脈は先程説明したとおり「前下行枝」「回旋枝」に枝分かれしていて、前下行枝は6番~10番まで、回旋枝は11番~15番までの番号がつけられているんだ。

冠動脈の番号と分類一覧表
①右冠動脈
近位部
②右冠動脈
中間部
③右冠動脈
遠位部
4AV
右冠動脈後側壁枝
4PD
右冠動脈後下行枝
⑤左冠動脈
主幹部
⑥左前下行枝
近位部
⑦左前下行枝
中間部
⑧左前下行枝
遠位部
⑨第1対角枝⑩第2対角枝
⑪左回旋枝
近位部
⑫鈍縁枝⑬左回旋枝
遠位部
⑭後側壁枝⑮後下行枝

 冠動脈は心臓を養う大切な血管なんだよね。だから病気が発生した時に迅速に対処できるように細かく分類されているんだね。

※冠動脈はエリアを選別しやすいように番号がふられている

◆血流量のコントロール方法

心臓は、何もしていない状態でも常時動いているよね。だから心臓はたくさんの酸素を消費する。

但し運動中になれば心臓の拍動は更に早く多くなるから、もっともっとたくさんのエネルギーと酸素が必要になってくる。

この時、冠動脈は自らの血管の幅を広げて血流量が多くなるようにコントロールできる予備能力を持っているんだ。

この心臓の予備能力は「冠血流予備能」と呼ばれているんだよ。

 なんだか難しい名前だなぁ・・・・

※運動時など大量の酸素やエネルギーが必要な場面では冠動脈は自ら血管の幅を広げる(冠血流予備能)

 ただしね、この冠血流予備能は年齢の増加に伴って予備能力も徐々に低下していくことが明らかになっている。
その為、歳を重ねるごとに軽い運動であっても息苦しさを感じやすくなっていくんだ。

 歳をとるたびに走ったりするのが苦しくなるのは予備能力が少しずつ弱ってくることも関係してたんだね。

 うん、この予備能力の低下は誰でも加齢に伴って発症する現象のひとつだから、何年かぶりに激しい運動をするような場合は少しずつ心臓への血流量を増加していくためにもしっかりとした準備運動を行なうことが大切なんだよ。
特に高齢者になってからの運動は冠血流予備能の低下現象によってどうしても心臓への負担が大きくなるから、無理をせずに少しずつ運動を継続していくことがポイントになるんだね。