ねぇドクター。動脈の血管はしっかりとした弾力性があって丈夫にできているのはわかったんだけどぉ、静脈血管はどうなっているの?
うん、静脈血管もね、もちろんしっかりとした構造になっていて簡単に破れてしまうようなことがないように作られているんだよ。
ただし、動脈のように心臓ポンプ作用による強力な圧力がかからないから、血液の流れもゆったりとなっているんだ。
その為、大きな圧力が加わりにくい静脈の血管の膜は動脈血管の構造よりもちょっとシンプルで薄い構造になっているんだ。
シンプルな構造?う~んそう言われてもちょっとわかりにくいなぁ…
確かにそうだね、ではここからは静脈の壁を構成する組織について動脈と比較しながらチェックしてみようか?
は~い!
血管の構造はね、動脈も静脈も基本的な構造は同じ。但し、動脈は心臓ポンプから送られてくる血液の圧力に耐えられる耐久力と柔軟性を持っている必要があるんだ。
心臓が1回の収縮で送り出す血液量は60ミリリットル~80ミリリットル程度。
血管の中では太い部類に入る動脈と言っても、これだけの血液量が一気に流れ込んでくるのだから当然と言えば当然だね。
血管の構造の基本は、「基底膜(きていまく)」と、その基底膜の外側を覆う「内皮細胞(ないひさいぼう)」と呼ばれる血管のもっとも内側を通る内膜があり、その外側に「平滑筋(へいかつきん)」と「弾性繊維(だんせいせんい)」で構成される「中膜」がある。そして最も外側には「外膜」と呼ばれる組織があって、この「内幕」「中膜」「外膜」の3つの膜で血管は守られているんだよ。
※血管は「内幕」「中膜」「外膜」の3つの膜で構成されている
へぇ、そんなにしっかりと守られていたら安心できるね。
うん、一本一本の血管はこのようにしっかりとした3層の膜構造で覆われている。だから普通は簡単に破れてしまうようなことはないんだよ。
そして更に動脈の場合は、「内幕」と「中膜」の中間、「中膜」と「外膜」の中間に弾性板(だんせいばん)と呼ばれる膜状の組織があるんだ。
※動脈には3層膜の中間に弾性板と呼ばれる膜状組織がある
なるほど~。この弾性版があるかどうかが動脈と静脈の大きな違いのポイントなんだね。