僧帽弁の仕組み・構造・働きの解説

心臓弁のひとつである僧帽弁の構造・働きの解説。狭窄症・逸脱症・閉鎖不全症とは何だろうか?

◆僧帽弁の仕組み・構造・働きの解説(もくじ)

◆僧帽弁逸脱症の症状の特徴

 心臓弁膜症には狭窄症と閉鎖不全症の2種類の弁膜症があるんだぁ。

 うん、そして僧帽弁には「僧帽弁逸脱症(そうぼうべんいつだつしょう)」と呼ばれる弁膜症もあるんだ。(※僧帽弁逸脱症候群も同意)

 僧帽弁逸脱症?

 そう、この僧帽弁逸脱症の「逸脱」という言葉の意味は、「本筋から外れる」という意味や「決められている範囲からそれてしまう」という意味がある。
だからね、本来僧帽弁がしっかり役割を果たすことができる場所から外れてしまうことを意味しているんだ。

 じゃぁこの病気になってしまったら僧帽弁はどこかにいってしまうってこと?

 うん、実際には僧帽弁の位置、場所が変化するわけではないんだけどね。僧帽弁の方向が変わってしまい血液の逆流を防止する機能が果たせなくなってしまう病気が僧帽弁逸脱症と呼ばれる疾患なんだ。

※僧帽弁逸脱症は弁の役割を果たせなくなる心臓弁膜症の一種

◆僧帽弁の構造・僧坊弁はパラシュート形状

僧帽弁の構造はね、左心室へ血液を送り込む左心房の出口部分に2つの幕状でできている弁構造をしている。

弁の数が2つであることから右心房・右心室間にある三尖弁に対して二尖弁とも呼ばれることがあるんだ。

この僧帽弁の弁はパラシュートのような形状をしていて通常は左心室の下部にある組織と結合して左心室側に引っ張られる形で伸びている。

しかし、僧帽弁逸脱症の患者の場合は、このパラシュート状の僧帽弁が左心房側に一部入り込んだ状態となってしまっている。(本来の位置からずれている=逸脱)

僧帽弁がしっかり閉まらないような状態になってしまう症状をもたらす病気のことを総称して僧帽弁逸脱症と呼んでいるんだよ。

※僧帽弁逸脱症とは僧帽弁が左心室側に入り込んだ状態となる心臓疾患

 心臓弁が閉まらないってことは、さっきお勉強した心臓弁閉鎖不全症ってこと?

 そうだね、名称は異なるけれど、実質的な意味は閉鎖不全症と同様だね。
僧帽弁逸脱症になると、僧帽弁がしっかりと閉まりにくくなるため、本来の左心房から左心室への血流が、左心室から左心房へと血液の逆流を発症してしまう可能性が出てくるんだよ。

 でも、どうして普段はしっかりと左心室側に向いていた弁が突然左心房側に入り込んでしまったのかなぁ?

 僧帽弁逸脱症の明確な発症原因はまだ解明されていないんだよ。
ただし、「リウマチ熱」「心筋梗塞(しんきんこうそく)」「心内膜炎(しんないまくえん)」「拡張型心筋症(かくちょうがたしんきんしょう)」などの心臓疾患が引き金となって僧帽弁逸脱症が発症している可能性が高いことは確認されつつある。
この疾患は血液の逆流を伴う危険な病気で、急激に症状が悪化し突然死をもたらす可能性をもつ疾患でも心臓弁膜症でもある。
だからね、人工弁を装着する手術で弁そのものを交換する手術も行われているんだよ。